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ヒノキは嗅覚が鋭い女子高生だ。コーヒー豆の焙煎店を営んでいた父親と関係があるのかもしれない。静かで内省的な彼女の個性は、周囲とは一線を画していた。亡き父の残したノートを読むと、日本各地のミニシアターで観た映画の感想が綴られていた。しかし一か所だけ、場所が記されていないミニシアターには、匂いと印象だけが書き留められていた。ヒノキは(母親には黙って)父が訪れた映画館を巡る旅へと踏み出す。道中で出会う人々にコーヒー豆を手渡しながら、薄れゆく父の香りを追い続ける。のんびりとして少し哀愁漂う旅の中で、彼女はほんの少し大人になっていく。




